古へ




島々の生成


 

古事記の伝える科学知識(地質学)

時系列的にズームアップされ、「島々の生成」の段では、現象の展開の説明も地球レベルとなる。
前半は太陽系内における地球の生成の過程について語り、後半は地球上の陸地が地下の火によってひび割れして創られる、いわゆる「大陸移動説」を論じた上で、世界地理に言及している。
世界地理については大陸名がその特徴とともに語られるようなのだが、既に山田久延彦氏が先見的解釈を施されているので取り上げないことにする。
 
 
国生み
 ここに天つ神諸の命もちて、イザナギの命イザナミの命の二柱の神に詔りたまひて、この漂へる國を修理め固め成せと、天の沼矛をたまひて、言依さしたまひき。
 かれ二柱の神、天の浮橋に立たして、その沼矛を指し下ろして書きたまひ、塩こをろこをろに書きなして、引き上げたまひし時に、その矛の末より滴るしほの積もりて成れる島は、オノゴロ島なり。
 その島に天降りまして、天の御柱を見立て八尋殿を見立てたまひき。ここに・・中略・・「故この吾が身の成り余れる処を、汝が身の成り合はぬ処に刺し塞ぎて、國生み成さむと思ほすはいかに」とのりたまへば・・中略・・「然らば吾と汝と、この天の御柱を行き廻りあひて、ミトのマグアヒせむ」とのりたまひき。
・・中略・・「をみなご先立ち言へるはふさはず」とのりたまひき。然れども隠処に興して子水蛭子を生みたまひき。この子は葦船に入れて流し去りつ。次に淡島を生みたまひき。この子も数に入らず。
・・中略・・ここに天つ神の命もちて、フトマニにうらへてのりたまひしく、「をみなの先立ち言ひしによりてふさはず、また還り降りて改め言へ」とのりたまひき。(国生み・前半) 
【訳】: 現象の展開は、平衡と擾乱の要素の相互作用で成る。
 まず、物質が全てプラズマ状態(シホ=絞・炎)にあるとき、強力な磁場(ヌボコ)により回転(コヲロコヲロ)して集合し、重力によって凝集して自転(自=オノ、転=ゴロ)する天体を造った。銀河系や太陽系、そして地球がそうである。
 そうした天体は、自転軸(ミハシラ)の周りに非常に広大な回転対称域(ヤヒロドノ)を持っており、地球の場合には、当初自転軸を中心にして、広くて丸い大陸(パンゲア大陸)があった。
 また、どのような現象についても、陰陽の二極性が創造の要素にあり、陰陽が作用し合い新しい形態が様々に組織されていく。それは、男女も同じであり、男は剛毅、収斂の性質を持つゆえ「をとこ」(土の力)、女性側は柔軟、包容の性質を持つゆえ「をみな」(水の力)と表現する。
 また、相補する雌雄の二極の相互作用は共通軸に対する回転によってなされる。たとえば、共通の磁場を柱にして電離物質が回転することは、多くの天体創造(国生み)の原因となる。
 また、マクロな現象で、雌雄が同勢力としても、拡散性の雌側が運動を先行したなら、現象は発散して結果が実らない。大過去には、拡散勢力が国の統治に関わろうとして、内乱相次ぎ、結果的には大量の葦船による流罪者を出した。また、地球の回転が異状な時期に、陸地の海没が起こったりもした。組織作り国造りを通じて、まとめる側の力が拡散する側をしのがねば、まともな結果とはならないのである。
 さて、次に出てくる島々は、当初あった大陸が地下の火(マントル対流)によってひび割れして生まれている。それを擬態模倣して、扁平な鹿の肩甲骨を火で焼いてひび割れを起こし、吉凶を測るフトマニの占術が考案されている。
 また、海陸(水と土)が侵攻し合って島ができているわけで、それゆえミト(水と土)のマグアヒ(交合)とも言う。(前半解釈) 
国生み・後半は取り上げない。
 

 神々の生成へ 

Copyright(C)1978-2001 Okuhito  初稿1978.5   


古事記一覧表に戻る





−Copyright(c)2001- Okuhito all rights reserved−