古へ




鵜葺草葺合へずの命


 
新しい時代は振り出しに戻る


 
 
前段で生まれたのが鵜葺草葺合へずの命であるが、この神と玉依姫との間に、五瀬の命、稲氷の命、御毛沼の命、若御毛沼の命(神武天皇)が生まれる。このうち、御毛沼の命が常夜の国(宇宙)、稲氷の命が海原、残る二神が陸上で、続く中つ巻に繋がっていくように設定されている。

ここで、陸、海、空に持ち分けての支配構図を示したともとれる形で終わっているわけだが、これもイザナギ神の身禊で生まれた三貴子の支配構図の説明によく似ている。つまり、次の新時代の初期状態を説明した形で、上つ巻は終結しているとみられるのである。

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この最後の二段の話は、ちょうど連続する「黄泉の国」から「身禊」にかけての話に似て、その簡略化(軽減)された筋書きの感がある。つまり、この位置に前話を繰り返し置きたかったのではないかと思われるふしがあり、もしそうならば(過去よりさほどひどくない)最終戦争があり、元の黙阿弥になった世界が、我々の歴史の先に預言されていることになろうか。つまり、大過去がそうであったように、歴史は同じテーマを抱えて繰り返すというのが、古事記預言のあらましなのである。
 

 
 古事記神話解釈・完 

Copyright(C)1978-1998   初稿1978.5 


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