八月・緑の恩恵

 

 




野焼き後の三月に生まれ
年末には枯れて次の野焼きに至る

菜園の外を覆う名もない草木たち


八月ともなれば私らが手塩にかけ育てた

果樹穀類に引けをとらぬ生育ぶり


何の支えもなしに強風に向かい

たおやかにゆれて力をかわしている


何の価値も生み出さず喜ばれず
ただ芽吹くに任せ育つに任せ


刈られ焼かれるときあるを想わず

日の光を浴びたら浴びたで活気づき

ときならぬ驟雨に緑を輝かす


もし刈られるときは痛いといい

焼かれるときは熱いというだろうか


それでも精ー杯世に仕えようとてか
神の英知を思い出そうとしてか


いたどりは幹と枝を太くし椋鳥を憩わせ

低草は乱れ織りなしこおろぎの愛を育む


早いすすきはがが芋のキャンバスに

淡い琥珀の穂をはためかせ

半分ばかり都会に原始の趣きをそえる


私は土作りから始めた弱い果樹穀類の
命を尊び水やり施肥虫取りをおこない

初秋よりの収穫を夢見て

神にかなわぬ迄も命の創造を楽しむ


天は高くにあって白雲えがく大八島


目を悪くしてようやく恩恵を知る

こぼれ幸嬉しい 土手下 小菜園の夏





 

 

 


 








   

comment


「八月・緑の恩恵」


我が家の小さな菜園も、
作物で密集して足の踏み場もなくなりました。
トウモロコシ、茄子、トマト、ピーマン、インゲン、
ナタ豆、柿その他が成長盛んです。
ドライアイのお陰で、
そっちのけにしていた手入れをするようになり、
やはり目には良いことが分かりました。
収穫までに台風が来なければよいがと、
空を見上げたりしています。


Poem & Comment by 奥人

 








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