天女タイプ宇宙人はとっても美人
天女の羽衣伝説の真相も実地体験から紐解けば意外とこんなことか。
天女は宇宙人だから、予め獲物とする地球人の男を調べていたらしい。
男が来るのが分かっていて、羽衣を岸から遠いところの松にかけておき、きゃっきゃっと奇声を上げながら水浴びしていた。そこに覗いてはなるまいとは思いながらもやはり男。すると、絶世の美女ではないか。衣はと見れば、すぐ傍にかかっている。当時は夜這いもなにもかも流行の御時世。衣をつかむや、「おおい。これ、預かったぞ」と声をかけ、家に逃げ帰ったとさ。
天女は追いかけてくる。「返してください」と。「いいや。おらの嫁にならないなら返せねえ」
こういうわけで、とうとう天女は与太郎の妻になったとさ。
この与太郎。さほど賢くはないが、けっこう丈夫。世間もヨタがすげえ別嬪を手に入れたと騒ぎ羨ましがるのを鼻高々に、日々昼夜のお勤めはせっせとこなしていたとさ。
ところが二年がちょうど来た日。嫁にもらった二周年と、手に手に鴨や鯛、山海の珍味を背負って戻った与太郎の前に、離縁を告げる文が一通。嫁はどこかと見ても、どこにもいない。さてはー、羽衣のありかを知り、盗んで還ったか。と、探せば、羽衣はそこにあるではないか。どうしたことぞ。
天女もしたたか。種を明かせば、あまたいる天女の種族はみな顔も体も瓜二つ。毎晩示し合わせて、とっかえひっかえ別人が子種をいただきに来ていたというわけじゃ。
天女も布団入れの中のつづらを開ければ、羽衣もあろうことぐらい察しがついたろうに、人様のものを盗むのはいけないことと考えてか、いやいや人様の子種を盗むことを優先させるあまり、けっこう長い逗留をしたとよ。
こうして天女族のグループ数百人がややこをおなかに宿し終わったとみるや、「おいとまします。長らくお世話になりました」と文を飯台に置いて還ってしまったというわけ。とんだアマゾネスだったわけ。
地球の男は突然わけも分からぬ破綻が起こるショックに弱い。
ヨタは食欲もまったくないのにもかかわらず、たくさんの山海珍味をいっしょくたに食ってしまい、翌朝には食中毒の腹痛と内臓不全で息絶えていたそうな。
これが天女の羽衣伝説真相開顕の一節というわけ。ベベベベーン。
そういえば、浦島太郎もそうだった。里心出したばっかりに。いやいや、たぶん天女のほうが別れたく思ったんじゃろう。何もここまでせんでもいいのに、玉手箱をこれ見よがしに渡しおって。男は所詮寂しがり屋じゃ。形見にもらったものは何ぞと、思い出を辿るように、開けてもみようもの。
天女系というのは、こういったところが怖いのじゃ。まあ、お遊びにとどめておくが良かろうて。
管理人も、すでに経験済みじゃでの。